通常、損害賠償は、損害額が確定した段階で請求をします。
しかし、被害者には、治療期間中も、治療費等経済的な負担が生じます。
そこで、損害額の確定前の治療期間中であっても、保険会社から一定の支払いを受けられます。
主に、以下の①~③の方法があります。
① 自賠責に対する仮渡金の請求
事故直後の当座の出費を賄うために、傷害の程度等に応じた一定の金額を請求することができます(自賠法17条1項、同法施行令5条)。
② 自賠責に対する既発生分の請求
既に発生した治療費、交通費及び休業損害等(①を除いた分)を請求することができます。その際、医療機関の診断書、診療報酬明細書等の提出が必要になりますが、診療報酬明細書は、月単位で発行されるため、一月に1回のペースで追加請求をするケースが多いです。自賠責保険では、保険金額が定められており、傷害による損害の保険金額120万円を限度に支払われます。
*以前、実務上実施されていた自賠責保険の「内払制度」(損害額が10万円以上に達した場合に保険金額120万円を限度として支払う制度)は、平成20年10月1日に廃止されています。
③ 任意保険会社に対する内払の請求
任意保険会社に対しても、既に発生した治療費、交通費及び休業損害等(①②を除いた分)の支払いを請求することができます。
被害者が診療情報の開示に同意をすれば、診断書・診療報酬明細書の提出と治療費の支払いのやり取りは、直接医療機関と任意保険会社との間で行われます。
なお、加害者が任意保険に加入していれば、任意保険会社が窓口となり、①②の自賠責保険分も一括して任意保険会社が支払う制度(=「一括払制度」)を利用することができます。
以上