新聞やテレビのニュースなどで「口頭弁論」「公判」という文字をたびたび目にされることがあるものと思いますが、実際に「裁判」をご覧になったという方は少ないのではないでしょうか。今回のコラムでは、裁判というものをイメージしていただくため、一般的な裁判の流れを述べてみたいと思います。
なお、ひとくちに「裁判」といっても、「民事訴訟」や「刑事訴訟」、さらには行政庁の行政処分の効力を争う「行政訴訟」や婚姻や親子関係等に関する身分関係を判断する「人事訴訟」などもあり、それぞれ手続も異なります。 まずは、社会生活を営むにおいて、誰でも当事者になる可能性のある「民事訴訟」について、その概略をご説明したいと思います。
1. 民事訴訟のはじまり
(1) 訴状の提出
訴えを提起しようとする人(この人を「原告」と呼びます。)が、「訴状」という書面を、裁判所に提出することによって、民事訴訟が始まります。 訴状には、当事者の氏名や住所など形式的な事項のほか、「請求の趣旨」「請求の原因」「請求を理由づける事実」などを記載します。また、訴状の提出時に、訴状に収入印紙を貼って、手数料を納めます。
(2) 提出された訴状は?
裁判所による訴状の審査を経たうえで、裁判所から、訴えの相手方とされた人(この人を「被告」と呼びます。)に、訴状の副本が送達されます。訴状副本の送達は、通常は郵便による交付送達によって行われます。また、訴状副本の送達とともに、被告に対して、第1回口頭弁論期日の呼出しが行われます。
日本経済新聞(2014年12月28日)